ベクトル談義(17)

ベクトルの問題が解けない、理解できない、という人へ向けたベクトル談義第十七回

できれば問題解けるよ。って人にも見てほしい。

第一回
第十六回
第十八回
それでは前回のおさらい。

ある「基準点」から伸びた二つのベクトルを用いれば、直線をただ一つ「示す」ことができます。
お終い。


そして今回は、ベクトルを使って直線を「表そう」と思います。
……前回やった?
前回の内容は「直線を示した」だけですので、「直線を表す」こととはまた違います。

ベクトルを二つ用いれば、多くある直線の中から一つの直線を選び出すことはできます。また、ベクトルを元にして直線を描くこともそこまで難しくはないでしょう。
ですが、直線の「式」はどうでしょうか?
前回のような二つのベクトルから直線の式を求めるには、①直線を引き②直線上の点の座標を調べ③それを元に直線の式を導き出す必要があります。
これを直線を表すベクトルからそのまま③の段階に持っていこう、というのが今回の目的です。

端的に言ってしまえば、「直線をベクトルで表す」ことで、直線そのものを「ベクトルを用いた式」として求めることができるようになります。


そもそも、直線というのは点の集まりなわけですから、

ベクトルを使って「直線上のすべての点」を表すことができれば、直線を表したと言ってもいいでしょう。

ここで重要となってくるのが、「伸びる」ベクトルです。

これは長さが自由に伸び縮みするベクトルです。
長さ伸び縮みするということは、このベクトルは「むいている方向にあるすべての点を示すことができる」ということです。

このベクトルさえあれば、直線の上の点をすべてベクトルで指し示す、もとい直線をベクトルで表すことができそうですね。

というわけで前回の直線を、この伸びるベクトルで表してみましょう。

「これで直線が表せたな!」
と思った方は第十五回の内容をもう一度思い出してください。


このままでは、このベクトルが表す直線が

こういう直線であるということもありえるのです。そう、十五回の
この↓だけだと
どれを示しているのかわからないよね。と言っていたやつです。

ですから、この直線を一本に絞るために、「位置ベクトル」で「伸びるベクトル」の場所を指定してしまいましょう。


このように、「直線」は「位置を示すベクトル」と「伸びるベクトル」の足し算として表すことができます。
次回はこれを式の形にしていこうと思います。