ベクトル談義(12)
ベクトルの問題が解けない、理解できない、という人へ向けたベクトル談義第十二回
できれば問題解けるよ。って人にも見てほしい。
第一回
第十一回
第十三回(脇道)
さて、前回のおさらい。
方向の違うベクトル同士じゃ掛け算の仕方が分からない。
それじゃあ縦と横に分けちゃえばいいんじゃない?
という感じでした。もっとも、掛け算(内積)して答えが二つも出たらおかしいですよね?
というわけで今回のお話。
何が問題かと言えば、もちろん答えが二つあることです。
なので、
二つある答えの片方を……
消しちゃえばいいわけです。
問題は、
「だからってどうやって消すのよ」
なんていう話になるわけですが、単に消す、と言っても実際に数字として消し去るためには、「ゼロ」にしてしまえばいいのです。
意味としては「ゼロ=何もない」と言う感じですから、消してしまったといえるでしょう。
さて、この二つの答えの片方をゼロにするには、
掛け算に使っている数字(ベクトル)の片方をゼロにしてしまうしかありません。
つまり、上図のオレンジのベクトルのどちらかの長さがゼロになればいいわけです。
……まあ、図とにらめっこしてもベクトルは縮みません。
しかし考えても見てください。ベクトルを縦と横の二つに分けさえしなければ、答えが二つなんていう訳の分からないことにはならなかったわけです。
かと言って分けなかったらどうやって計算するの? という状態だったわけですが。
そもそも私がなぜベクトルを二つに分けよう、と思ったかと言えば、足し算の回に一度やっていたからです。
「ベクトルを分ける」なんていう考えは、あまり出てくるものではありません。
ですが、なぜ「縦」と「横」に分けたのでしょうか?
第三回でお話した『「最初の出発点と最後の到着点が同じなら同じ矢印だ」というのが、ベクトルの足し算』という考え方からすれば、
例えば、
→
であるとか、
→
のような分け方をしてもいいはずなのです。
そこで、今回は思い切って、
この計算のこのベクトルをこの方向と、これに垂直な方向に分けてみることにします。
わかりにくいと思うので実際にやってみましょう。
このような感じになります。
同じように
このベクトルを
この方向と、これに垂直な方向に分けてみると、
こんなふうに、緑の方向への矢印がなくなってしまいます。
それではとを使って、前回と同じようにそれぞれを掛けてみましょう。
すると、緑のベクトル同士の掛け算は、片方のベクトルがない(ゼロになっている)ので消えてしまったと考えてもいいでしょう。
一方オレンジのベクトルのほうは、前回と同じように、計算をすることができます。
さあ、答えがひとつになりましたよね? このオレンジのベクトルの掛け算は、
の答えとなるのかもしれません。
まだまだ足りない部分もありますが、今回はここまで。